ホテルニューアカオができるまで
50年の歴史を紡いできた『ホテルニューアカオ』には、前運営会社時代から活躍していたスタッフたちが大勢いました。マイステイズ・ホテル・マネジメントによる再建プロジェクトは、彼ら彼女らの目にどう映ったのか。どのような気持ちで受け入れていったのか。異なるカルチャーやノウハウが1つになることで、どのようなシナジーが生まれていったのか。一人ひとりの思いを汲み取りながら、プロジェクトは進行していきました。
-
若林さん
ホテルニューアカオ 宿泊部門 マネージャー
2001年、旧『ホテルニューアカオ』運営会社に新卒として入社。事業譲渡とともにマイステイズ・ホテル・マネジメントに転籍し、『ホテルニューアカオ』宿泊部門副支配人に就任。
-
高橋さん
ホテルニューアカオ 料飲部門 マネージャー
2008年、旧『ホテルニューアカオ』運営会社に新卒として入社。事業譲渡とともにマイステイズ・ホテル・マネジメントに転籍し、『ホテルニューアカオ』料飲部門副支配人に就任。
-
土橋さん
ホテルニューアカオ 総支配人
2016年入社。2022年12月、『ホテルニューアカオ』総支配人に着任。再建プロジェクトの中心人物として、プロジェクトをリード。現在も同ホテルの運営に携わっている。
事業譲渡のニュースが駆け巡り、地元・熱海の方々や長年ご愛顧くださってきたお客様たちから喜びの声が寄せられました。中でも最も喜んでくれたのは、このホテルを愛するスタッフたちでした。
「事業譲渡に伴い、旧運営会社から数多くの転籍者を迎えることができました。働いているスタッフたち一人ひとりが、この場所を深く愛している。それこそが当ホテルの強みであると感じましたね」(土橋)その代表格が、宿泊部門の副支配人に就任した若林さんと、料飲部門の副支配人に就任した高橋さんでした。
「私たちは当ホテルの旧運営会社に新卒として入社し、フロントやレストランなどで経験を重ねてきました。事業譲渡の時点では、私は不動産部門に、高橋さんは経理部門に在籍していたのですが、ずっと『いつかまた、ホテルニューアカオの現場で働きたい』という気持ちを抱き続けていたのです」(若林)
人材不足と言われるホテル業界ですが、『ホテルニューアカオ』にその公式は当てはまりませんでした。このホテルを愛し、このホテルでずっと働きたいと考えてくれているスタッフたちは120名以上にのぼりました。
事業譲渡の正式発表の直後、マイステイズ・ホテル・マネジメントは旧『ホテルニューアカオ』のスタッフ向けの説明会を開催しました。「説明会以前から転籍に迷いはありませんでしたが、当時は『オーシャン・ウイング』の休業が続いており、説明会ではこちらの館がどうなるのかを質問させていただきました。『再開予定』という返答をいただけて、本当に嬉しかったですね」(高橋)何もかもやみくもに新しくするのではなく、ホテルニューアカオが紡いできた歴史や思い出を受け継ぎ、次代へとつないでいく――。そんな当社の姿勢に、多くのスタッフたちが賛同してくれました。結果的に、旧運営会社からの転籍者は100名以上にのぼり、一度は退職していた20名以上のスタッフたちも戻ってきてくれたのです。「人材不足と言われるホテル業界で、こんなにも多くのスタッフたちが『働き続けたい』と言ってくれるホテルがある。この思いに応えなくては、と、改めて責任を感じました。」(土橋)
マイステイズ・ホテル・マネジメントの持つ幅広い知見を取り入れながら進化を続けていく『ホテルニューアカオ』。意見を出し合いながら、これからの同ホテルにふさわしいノウハウが練り上げられていきました。
マネジメント職に就任したメンバーには、幅広いノウハウに触れられるよう、当グループが運営するリゾートホテル「ホテルエピナール那須」などへ視察に出向いてもらいました。
「『ホテルニューアカオ』は同族経営の時代が長く、それが魅力でもありましたが、外部の空気に触れられないという側面もありました。だからこそ、マイステイズ・ホテル・マネジメントというホテル運営のプロ集団が持つノウハウを取り入れられることは非常に心強かったです。新たな知見やアイデアに触れ、大いに刺激を受けました」(若林)
「当社の本部には、様々な分野に特化したプロフェッショナルたちが在籍しています。私の場合は、フード&ビバレッジディベロップメント部門の方と接する機会が多く、意見を交わし合いながら様々なことを吸収していきました。これまでの環境ではちょっと思いつかなかったような意見もどんどん出てきて、非常にエキサイティングな日々を過ごすことができました」(高橋)
オペレーションや業務システムなどの刷新に伴い、スタッフたちの業務スタイルも変化していきます。大切なのは現場の意見。一人ひとりの意見やアイデアを吸収しながら、業務スタイルはさらに洗練されていきました。
『オーシャン・ウイング』の開業に向けて、様々なことが刷新されていきました。たとえば、宿泊部門ではチェックイン・チェックアウト時間が変更になり、使用する業務システムなども一新されることになりました。
「フロント業務ひとつとっても、流れが大きく変わりました。新たなオペレーションなどを吸収していくために、スタッフたちにはトレーニングに励んでもらいました」(若林)
また、料飲部門では『メインダイニング錦』がビュッフェレストランに生まれ変わるという大改革が。
「滞在時間が区切られているビュッフェレストランでは、お客様をいかにスピーディにお席にご案内できるかというのが一つのポイントです。『錦』のフロアは3階建てなので、段差でお客様がつまずいたりなさらないような配慮も不可欠。オペレーションについてはかなり試行錯誤を繰り返し、スタッフたちの意見も吸収しながらブラッシュアップを重ねていきました」(高橋)
ついに迎えた全面開業の日、最初にチェックインに訪れたお客様。その方は、まるで『ホテルニューアカオ』が愛される理由を体現されていらっしゃるかのようでした。
2023年7月。半年以上の準備を重ね、ついに『ホテルニューアカオ オーシャン・ウイング』はオープンを迎えました。
「当日は、総支配人としてスタッフと共にお客様をお出迎えしていました。最初にいらっしゃった親子連れのお父様にお声掛けしたところ『実は子どもの頃に両親と利用しました。自分が親になった今、ぜひ子どもと一緒に来たいと思っていたんです』とおっしゃってくださったのです。非常に感慨深いものがありましたね」(土橋)
オープン後、『昭和レトロ』のコンセプトは広くお客様に喜ばれ、生まれ変わった『メインダイニング錦』も、チャレンジングな『缶詰BAR 缶蔵~KANZO~』も絶好調。生まれ変わった『ホテルニューアカオ』の実績は好調に推移しています。
「もちろん、まだまだ課題はたくさんあります。親子三世代、四世代にわたって愛され続けるこのホテルを未来へとつないでいくために、スタッフ一同、力を尽くしていきたいですね」(土橋)